土蜘蛛

土蜘蛛と戦う事になった様だ。
恭順わぬものの名前を持つ連中の長が、よりにもよって奈良に眠るのも妙な話とは思うが。
ちなみに奈良と言えば、「平城京」は俺達今の高校生は「へいぜいきょう」と教えられるが、以前は「へいじょうきょう」と読んでいたそうだ。教科書も色々変わるものだな。


土蜘蛛戦争、と銘打たれていた。
戦争か。
この国で、自分が生まれる半世紀近く前の話で。親も実体験はないのだろうから……今ひとつ、実感が湧かない。TVや本や、ゲームの中の話だ。
言葉としては戦いとはまた違う感覚を受ける。
ただ世界史の教科書を見るだけで、戦争が起こっていない期間は酷くどこも短い……筈なのだ。それこそ戦争の起きない時代の方が短い場所だってある。
たまたま、幸運な時代に生まれて、戦争の悲惨さなどを語られて育つから、そう区別をつけたい傾向が無意識に強いんだろうな。

ただ、逆を言えば、「戦争」と呼ばれない戦闘には然程大きな情動を感じない、能力者として育った自分が居る訳だ。

行為としては変わらないのにな。それもそれで健全ではない気もする。



やれることはやっておこう。
少なくとも、やると決める事、やらないと決める事、どちらを選ぶにしろ選択するのは自分だ。