夏休み

「霧になりたい」

と呟いたら、家人が真顔で「……何か悩み事があるなら相談に乗るぞ」と言ってきた。



聞かれてたらしい。
別に貝になりたいとかそういう意味じゃないのだが。

良かった

無事で。

日記。

間が空いた。

卒業後も特に変わることは無く、大学に行きながら高校時代の皆と会ったり、
杉小路と植木市に行ったり、色々とそれなりに楽しい日を送っていた訳だが。

植木市で買ったトマトの苗を結社の庭に植えさせて貰った。
収穫が楽しみだ。
そう、庭弄りをしていたら欧州の騒動の話が学園や結社を賑わせていた。

凪や杉小路に気に掛けられたが、人狼のヘルムートが欧州で虜囚の身となった知らせが届いている。
依頼で皆と一緒に正月を過ごして、直ぐ帰国の途についてしまった相手では有るが。




ただ袖摺り合うも他生の縁と言う。
他生、つまり生まれ変わる前や後に縁ができた相手であるから今生で出会った、という事だ。

日本語は、面白いよな。

なら、此処で俺の縁を害するならば、前世来世に至るまでの、俺の害だ。
三世と七生、贖わせるまで。

卒業証書

貰った。

校長の名前を始めて知った。









そして帰り道で穂村があんな事に。

席

そういえば、卒業の後の座席表。
ここで自分が書かなくても気づいている人間が殆どだと思うが、席順が変わっている。自分も、隣の席が違う顔になっていたので気づいたんだが。
ただ、な、一人、どう席の名札を辿っても名が無いのは、堪える。
自分はただ何事もない多少の時間に同じ場所に居ただけではあるけれど、な。